第112回最高の居場所ライブ(6/16)
コラボ企画『未来会議 in Tokyo』


第112回最高の居場所ライブ
コラボ企画「いわき未来会議in Tokyo」活動報告
 
日時:2018年6月16日(土) 13:00-17:00 (受付開始12:45)
会場:東京ボランティアセンター 会議室A・B
参加人数:35名
企画運営チーム:くみ、マリー、しょご、SOL

当日は、概ねこのようなスケジュールで、未来会議 in Tokyo ライブは進行していきました。

13:00  最高の居場所オープニング
13:15  未来会議の経緯と福島の現状について
     新聞記者&未来会議事務局:根岸拓朗
13:35  第1部 クロストーク
     未来会議事務局長:菅波香織、副事務局長:霜村真康
     新聞記者&未来会議事務局:根岸拓朗
     ファシリテーショングラフィック:長谷川久三子
14:40 第2部 対話セッション:ワールドカフェ
     ファシリテーター:霜村真康
     グラフィックレコーディング:長谷川久三子
     全体を通した写真撮影:橋本栄子
16:10  ハーベスト
16:40  最高の居場所クロージング

以下、当日のライブの概要です。

【オープニング】
・未来会議のオリジナルメンバーでもあり、最高の居場所の個人会員でもある、双方の橋渡し役のかっちゃん(愛川克己さん)より、参加者への謝辞と本日のライブの趣旨説明のあいさつがあり、『未来会議 in Tokyo』が開幕。
・最高の居場所ライブ運営事務局より、居場所のビジョン紹介。
・NPO法人はたらく場研究所-最高の居場所代表理事とうりょうから挨拶。
・自分と未来会議のかかわりを語るライブ担当者の自己紹介。

【福島の状況】
いわきに勤務経験のある新聞記者の根岸拓朗さんより、浜通りのあの頃と最近について、最初に共有がなされた。
震災後2013年からいわきに在職した3年間の記録写真スライドを交えての説明だった。

・雑草が生い茂り無人となった常磐線富岡町駅。
・津波の避難誘導中に呑み込まれ、殉職した2名の警察官を乗せたパトカーの残がい。
・除染作業をした放射線残土を詰めた山積みのフレコンバック。
・帰還困難地域の双葉町住宅地。
・散り散りになった町民同士の連絡ツールに、タブレット端末を活用。
・いわきに避難者しながらも原発廃炉作業に携わる人。など

「新聞記者という仕事柄、場合によっては取材記事でいろんな立場の方を意図しないで傷つけることもあり、ジレンマを感じていました。そうした中、本音で話せる場を目指して2013年から未来会議が立ちあがったので、積極的にかかわりました」 根岸さんの言葉。

【第一部】クロストーク

「未来会議の始まり」
・未来会議事務局の霜村氏から、未来会議の始まりと経過が語られた。
・地震と津波の被災地でありながら、約35万人のいわき市は、福島第一原発周辺地域から、避難者約2万人受け入れた。
・元々の地元のコミュニティーの中で、新しく入ってきた避難者と軋轢が起き、いろんな分断が起きた。
・放射線への不安、避難生活や帰還に対して「自分の考えを相手はどう思うか」本音では話しづらい様々な事柄が、人々に溝をもたらした。
・分断からつながりを求め、2013年から住民の声を聞く対話形式のワークショップがスタート。こうして未来会議が始まった。

「経過」
・2013年はふるさと支援として5回開催し、3回目から誰でも来てくださいとしたら130人くらいの人が集まった。
・2014年は3回開催。テーマ「あれから3年」「今伝えたいこと、私たちはどんなことが伝えられるか」
・阪神・淡路大震災から20年の2015年には、神戸市で開催。同じ年に、避難指示解除を控えていた楢葉町でも開催。
・2016年は、テーマ「それぞれのふるさと」で開催。
・未来会議からスピンアウトで市民大学、町作り、MIRAI BARなどが立ちあがる。
・2017年は、市町村の境を取り払ったらという発想で、「浜通り合衆国」をテーマにした。

「これまでの葛藤」
実家が鉄工所経営しいて、東電から経済的恩恵を受けてきた一人でもある、未来会議事務局長菅波香織さんから、
「震災時妊娠中で事故当時は一時避難をしました。被ばくは怖いと感じながら地域のお母さんたちと交流する中、放射線被ばくを怖がる人は教育がないという見方がされることを、肌で感じました」
など、その場で共有された。

未来会議は相手の話を批判しないというルールだからこそ、いろんなことが話され、それゆえに葛藤もあり、いろいろな思いが交錯する。
・自主避難からいわきに戻ってきた親しいお母さんが、放射線被曝の不安を声に出し、批判され、その後離れていったようなつらい経験もした。
・同時に放射線被曝に不安を持つ人たちの「未来会議が復興推進派である」という見方もあり、そこに分断も起きた。
・不安を持った人たちも、未来会議に継続参加して欲しい願いがある。
・復興スピードから取り残される人たちとの分断が気になっている。
・2013年当時は対立点が明確だったが、時間の経過で対立点が変わってきたり、見えにくくなってきている。

「印象深いこと」
・「浜通り合衆国」では、市町村の境目があったことから分断が起きていたが、いわき市だけでなく、原発事故周辺の浜通り全地域ともつながる企画がスタートし、よさこい踊りチームなどが生まれだした。
・避難されてきた人たち(双葉郡)のために、いわき市内病院が混み合い、地元の人から不満が出るといった分断が悲しかった。

これらの話された内容が、キャシー(長谷川 久三子)さんによって、ステキなファシリテーショングラフィックでビジュアル化され、さらに、わかりやすく振り返りもしていただいた。

【第二部】対話セッション ワールドカフェ

テーマ「それぞれの居場所」についてワールドカフェ
(注:ワールドカフェは、カフェにいるように気軽な雰囲気で「問い」について話す方法)

最高の居場所メンバー、いわきからの参加者、東京近郊の福島に興味関心のある人たちが混在した4名が1チームとなり、各々の想いを出し聴き合う対話が、3回席替えを行う形で進められた。

対話をしながら、その場に出てきたこと、印象に残ったこと、自分の想いや気づきなどを、その場で各々が、目の前の模造紙に書き込んでいく。
たちまち、白い模造紙は、カラフルな想いの泉に変わっていった。

対話後、それぞれのテーブルで話された内容を、全員で共有した。
「居場所」というキーワードから出た多くの発言は心理的なものが多く、各テーブルの対話の深さがうかがえた。
そこで発言されたものは、キャッシーによって、グラフィックレコーディングで、前に貼られた用紙の半分に記録されていった。

・例えば、居場所は自分でいられる場所、受け入れてもらえる場所、ここが居場所と自分で決めてもいいのではないか(変化していくもの)など。
・他の人との関係性が出来てくると、居場所化していくように感じていることがわかった。
・住めば都と、1か所に縛られなくて、どこでも居場所化するという意見も出ていた。
・別の観点から、いわきには震災以後、先祖代々の土地を奪われたような形で移り住んでいる人も多い。そのため、先祖代々の土地=居場所と認識している人にとっては、新しい土地や人間関係を居場所と認めにくい人もいるのではないか。
・そんな方たちには精神的な面でのかかわりが、必要かもしれない。その方たちも、先祖代々といっても、さかのぼれば他から移り住んだのかもしれないので、ルールを探るのも良いのでは?という意見も出た。

今回最高の居場所と外部の「未来会議」とのコラボ企画。
最高の居場所にかかわりの深い方々と、未来会議に親しんでいる方々が、絶妙に融合した実りある時間となりました。
新鮮な意見や話しの中に新たな可能性を、これまでにない多様性の中から感じた時間でもありました。

今回のライブでの写真撮影は、未来会議でも撮影を担当されているえーこ(橋本栄子)さんにお願いしました。
終了後、シェアしていただいた写真は、それぞれのシーンにぴったりのものが選択されいて、どれもがとってもステキでした。
あまりにもステキなので、いただいた写真はコラージュして、全部使わせていただきました。

参加したみなさまから、たくさんのコメントをアンケートでいただきました。一部をご紹介します。

大学で学生を相手にしていて、最近気になっていること、- まさに自分の居場所を狭めている気がしてならない。バイト、授業、部活のキツキツのサイクルで、他社のと対話の場所、時間が少ない? 何かの機会に時間と場を作り、提示したいなと感じた。相手が何を感じ、考えているのかが不明な時代。センサーを働かせ、他者、他の世界を享受し、発信できる心(感覚)のやり取りができる社会になったらいいなと。(熊谷乃理子さん)

テーマの「それぞれの居場所」についてあまり考えたことがなかったので、改めて考えると、いろんな形があり、もっとみんなで考えていくべきテーマだと思いました。居場所について考える場を周りの人と共有したい。(城島めぐみさん)

未来会議と最高の居場所コミュニティは、同じことをしていると感じた。ワールドカフェで場を作って、次にOSTで個人の問題解決のセットで行うと、成果につながって達成感が高くなる。(カワさん)

自分の大事なものが居場所を作る。自分の大事なものがわからないと居場所を探す。大事なものからでも、居場所からでも、どっちでもいいので探す支援をしていく。(丸山まゆみさん)

多様な人々の自由な対話の場には、事故のリスクがあるということを、いくつかの話から感じられました。(認識のずれも、考え方の対立も、立場上対立も起こりうる) そういうことは起きるし、防げないことだと思いますが、それでも開催し続ける意味は大きいと感じました。(まこどん)

当事者である被災地の中で分断が起きてしまっている話、「未来会議」から来てくださったみなさんの肩に力の入っていない感じがよかったです。最初にゆっくりと、未来会議や現地の状況(当時も現在も)のお話が聞けて、いろいろと考えることができました。また、未来会議に参加できる機会があれば、したいと思います。最近、会社や職場だけでない切り口のテーマやゲストスピーカーの企画が多くて、個人的には、間口が広がるのでいいと思います。(五十嵐陽子さん)

企業での対話と、地域での対話の進め方と雰囲気の違いが印象的でした。とりわけ未来会議の取り組みの中で、全体を前に進めたいという流れを進めれば進めるほど、それに乗れない声が、ドンドンかき消されていく懸念の話も印象的でした。(KMさん)

それぞれの居場所のダイアログで、様々な思いや考えを聞くことができ、自分の中でも確認できたことはとてもよかったです。未来会議については、以前から聞いていたのですが、今回お話を聞けて良かったです。目に見える支援ばかり目立ちますが、生活者の心の傷・痛みに寄り添うことが、未来をつくる力になるのだと感じました。(NUさん)