第121回最高の居場所ライブ(3/23)
『サピエンス史・脳科学から紐解く人生百年の生き方』
ゲスト: 駒野宏人さん


第121回 最高の居場所ライブ
『サピエンス史・脳科学から紐解く人生百年の生き方』
ゲスト: 駒野宏人さん(岩手医科大学薬学部・神経科学講座教授 薬学博士)
● 日時:2019年3月23日(土)13:00~17:00
● 会場:目黒区中小企業センター
● 参加人数:30名
● 企画運営チーム:Sol@立岡里司 かんな@染谷歓奈

冒頭は、いつものように開催のあいさつと、とうりょう、Solのオープニング。
最高の居場所、そして毎月のライブの説明、グランドルールの確認でスタートした。
今回のライブは、人生百年時代がテーマの三部作の第1回目となる、キーワードは「命」。続く 4月ライブ「希望」、 5月ライブ「知恵」の紹介がとうりょうからなされた。
Solからのゲスト紹介で プレゼンターのヒロ(駒野宏人)さんにバトンタッチ、13:15から16:45までの3時間半はヒロさんの時間となった。

スライドは、120ページを超える分量が1ページに6コマで印刷され、参加者全員に配られた。守秘義務はもちろんながら、QRコードにアクセスすると、大きな画面で見られる、終了後にはアップデート版を保存したリンクを送付するなどの、ヒロさんの心くばりがすばらしい。

アジェンダの説明ののち、今日のライブで何を持ち帰りたいのか、自己紹介等で隣の人とペアワークで、楽しく語らう。意図すると必ず持ち帰ることができる。

今日のライブで何を持ち帰りたいかについて全体シェア、ヒロさん、ホワイトボードに書き取る。
・人間が本来持っている大切なものを紐解いていただけるコトを楽しみに。
・人類が進化した次のステージが知りたい。
・温故知新、人間の歴史を教えていただくコトで、人間がどのように生きてきたのか。
・健康寿命を延ばすヒント、脳の健康寿命を延ばすには? 守れば誰もが長生きできる。

ヒロさんのライブ構成は、第一部が、スライドによる講義と対話、第二部が、体感ワーク。

第一部は、人類の誕生、進化。
地球誕生を1月1日として、これまでの時間を一年に例えると、人類生まれたのは12月31日14時30分 狩猟採取生活が大半(約20万年)。
人間の遺伝子は数万年前の祖先と変わっていない!
ということで始まった。

人類誕生までの歴史は長い。
20億年前に二酸化炭素を光合成することで酸素ができる “嫌気性細菌と好気性細菌が共生。ここから多細胞ができるのに10億年の年月がかかっている。遺伝子重複や混成が起こり、いろんな生物が誕生する。共生・機能分担・役割分担へと進む。進化の原動力になるのは、新しいつながり。すなわち、新しい関係性、相互関係の構築。

そして、ホモ・○○○の時代へ。
ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトス、ホモ・ハイデルベルケンシスなどの進化の特徴が示される。そして、ホモ・サピエンスへ。
ホモ・サピエンスは、内省的自己で自分の心を見つめることができるようになり、また自伝的記憶(エピソード記憶)が発達。エピソード記憶は、言語で表せる長期記憶で、時間軸・感情を持った記憶。 エピソード記憶ができることで、経験する自己と物語の自己の二つの概念が生まれ、物語を共有できることで共同主観が(国、宗教、通貨、科学など)が生まれた。
エピソード記憶に関する問い、ラスベガスに行って好き放題できるが、その時の記憶が失われる、or 普通の温泉旅行。どちらを選ぶ? に、ほぼ全員が後者を選んだ。

今から7万年前に認知革命あり。背景は13万年~9万年前の干ばつ。干ばつ”砂漠化”で多様性を失い、人口が激減する。その危機感により、協力、社会性が高まる。それが、東日本大震災時の災害ボランティア等につながってきている。

さらに、人類はアフリカ発であること、ホモ・サピエンスの歴史は、認知革命、認知革命以降は農業革命、科学革命と続くこと、ただし遺伝子はほとんど変わっていないこと、人間の脳の構造へと講義は続いた。

ここまでのところで質問などを隣同士で対話。

シェア、質問。
・見えない世界で進化が起こっている。
・体験から物語へ、物語から体験へ。変換ができる。
・ミトコンドリアは”好気性”これまでは酸素は毒であった。酸素を活用できるようになった。
・瞑想は、経験する自己と物語の自己とのつながりを弱めることができる。
・人生100年生きる上で物語の自己は大切。笑顔で挨拶は、経験する自己。
・700万年前、相互扶助のプログラムを持っていたから、人間は生き残れた。
・言葉や記憶だけでなく、感情も記憶できるようになった。
・記憶していることが生きることに役立つとなると、それはパワーになる。

再びヒロさんのお話。
進化の目的は、生存・繁殖確率を高める。ストレスの対象 肉体的脅威は自己評価の脅威にあえて嫌なコトをやっている。

(絆を体感するワーク)
2人ペア 1回目:一人は楽しく話し、もう一人は無関心。
2回目:一人は楽しく話し、もう一人はそれを聞く。

(感想シェア)
・全然違っていて、前半は、話していても寂しい、受け取ってもらえない。
・無関心を装わないといけないが、頷きそうになって笑ってしまう。
・1回目と2回目の違いは、2回目は楽しい。

脳内には3つのOS 警報システム(セロトニン)・報酬システム(ドパミン)・絆システム(オキシトニン)がある。ラポールを確立するとオキシトシン出てくる。その上で、質問を拡大することに意味がある。

(ミニワーク)
心と身体はつながっている。
体を縮こめて辛い感じを思い出す、この感じのまま、体を起こし、手を上げる 辛い気持ちのままでいられるか?


No! 意思の前に無意識が決断している”体に意識を向けるのが大切。
・快と不快:根底にあるのは種の保存
・幸せのように振る舞うと、体験が変わり、物語が変わってくる。
・メタ認知することで、俯瞰できる。
・思い込みは、ストーリー。自分自身を認知すること。
・人間は80%同じことを考えている。
・知覚位置を変えられる(相手の立場で考えることができる)。

(COACHステートを使ったミニワーク)
体感ワークで、ステートが変わると体験が変わり、物語が変わることを味わった。
※COACHステート Centered/Open/Aware(Accept)/Connected(self/others) /Holding resourcefully

休憩をはさみ、円座のスタイルで講義再開。

人生百年時代、ヒトは生殖期以降も長く生きている。
何のために生殖期以降も行きているのか?
種として遺伝子を残す生殖期以降は、「周りのため」「世界のため」。それが、人生百年時代のキーワード。部分が全体に貢献、全体が部分に貢献。

掛け算で、希少価値をつくる。
・Aで安定している間にBをつくる。
・常に生涯学習 学んでいくことは常にワクワク。
・かけ算を持っていると、柔軟に生きていくことができる。
・やりたいことをやっていると、周りに響いてくる。
・幸運=準備×機会×支援  貢献していると、機会や支援が増えてくる。準備していると、周りから情報がもたらせる。

終わりに、
・著書『「生きるスキル」に役立つ脳科学』の紹介
・新設の一般社団法人「人生100年生き方塾」紹介

後半は、ワークシートを使用しての体感ワークの時間。

1. 人類史を振り返る 各時代を歩きながら振り返り、それぞれの時代を各自でジェスチャーとタイトルをつける。
2. これまでの人類史についてつらかった出来事、楽しかった出来事を挙げ、タイトルをつける。
※1と2はペアでシェア。

3. 今世に人類史のどの部分を持っていきたいか? 新しく開拓したいものは何か?
※グループでシェア。

1~3までの全体シェア。
・時代が進むにつれ、動きが小さくなる。
・新しく開拓したいものは)神に近づくこと。
・今この瞬間瞬間を生きる。
・調和の時代を考えていきたい。
・各人がそれぞれの良さを出していきていく。
・大いなる存在に生かされていることに感謝する。


最後のワーク
二人組を組む。今の自分を感じて右手で握手。永遠の自分(先祖からの命、未来の命)を感じて左手で握手、互いの両手で握手して感じる。
ペアを変えて、右手で握手、左手で握手、両手で握手。
この状態で歩いて、人生を全した状態を表すキーワードを3つ思い浮かべる。
その後、ワークシート4に書き込み。

(全体シェア)
・オキシトシン、セロトニンは、生存確率を上げるため。
・今を楽しむと、オキシトシン、ドーパミン出てくる。
・今を生きようという感覚。
・今ここの自分と永遠の自分をつくる”ゾーンにつながる。
・一人一人の中につながっていく。
・未知に拓いていく勇気と覚悟。
・細部(細胞)が全てを知っている
・既知を持ちながら、未知に開いて生きていく。
・運動は鬱や認知症の予防。
・これまでは男性性優位で動いてきた。
・女性性が徐々に出てきて、調和の方向に少しずつ動いている。

膨大な量の情報が、それも2時間の間にでありながら、ユーモアと事例と対話を交えて伝えられた。そのため、その細部の内容は覚えきれなくても、すんなりストーリーとして肚落ちした前半の講義だった。
後半は、サピエンスの歴史をたどりながら、そこの場に自分がいるとイメージして感覚を味わっていく、斬新なワーク。歩きながら、身体を動かしながら、ジェスチャーで表現するワークで、身体が自然と反応していった。

全体を通して、楽しく、かつ内容の濃い、実りある時間だった。
参加したみなさんは、こんな感想を述べられている。

本日のライブで心に響いたこと
・幸運 = 準備 x 機会 x 支援(福田大志さん、えりさん)
・話す方も聴く方もオキシトシンが出る。(えりさん)
・人類史を肌で体感できたこと。(さきさん)
・進化の原動力は“つながり”だったという言葉が、自分にはいちばん響きました。(かなさん)
・人類・ヒトの歴史からの気づき、技術進歩~これからのヒトのありかた・ステージとは、“今ここ”と“永遠の自分のワーク”、大いなる力に支えられている感覚。(マッキー)
・人類の歴史は本当に最近で微々たるものである。それが、良い意味で自分を小さく捉えられ、それならなんでもやってみればいい、と思えました。そして、自分のmissionを再認識しました。(MKさん)

本日のライブを通じて持ち帰り、活用したいこと
・オキシトシンを出すこと(自分も周りの人たちも)、どうしたら出していけるのかを考えたい。運動、人とのつながり、睡眠をおろそかにしない。(福田大志さん)
・脳のしくみがわかりやすかったので、自分の言葉で表現して伝えていきたい。(さきさん)
・運動 x わくわくを楽しむ x つながり、他者への感謝・思いやり。(マッキー)
・人類の歴史には、“新しいつながり、相互扶助”が起こしてきたことを聞き、組織づくりに生かしたいと思いました。(MKさん)
・人類の歴史を振り返れて、いまの自分の感情は思考を受け入れられるようになりました。運動、そして筋力をきたえることで、やる気を出す。(Tさん)
・自分の人生の捉え方を大切にしようと思いました。「運動・ワクワク・つながり」をインプットしてやっていきます。森で、今と過去・未来とつながってみます。(HMさん)
・どの時代の感情も持っていること、そして、その感情と「永遠の自分」「今ここの自分」とも大切にしていきたいと感じました。100年時代の自分の思いに向けて、ますます、人とのつながりを大切にしてきたい。(Wakaさん)
・駒野先生の塾に入りたい。(Asaqさん)